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《Facebook掲載中》リーフレットQ&A①

2022年3月22日

Q1:働くときの服装や化粧等を会社から制限され、言われたとおりの格好で働くのがつらい。やはり、我慢しなくちゃいけない?


A1:会社は、業務上の必要性があり、従業員の人権を不当に侵害するものでなければ、働く時の格好をある程度制限することができます。しかし憲法で認められた「自己決定権」については、業務上必要な範囲を超えての制限はできません。会社と話し合って、より働きやすいルールを決められる可能性は十分あります。


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自らの外見(服装や髪型等)を選ぶことは、憲法で保障されている「自己決定権」や「表現の自由」の範囲と考えられていて、公共の福祉に反しない限り尊重されるべきものです。


ただし、会社が事業の円滑な運営上の必要性から、服装や身だしなみについて合理的な規則を定めた場合、従業員はこれに従う義務を負います。


つまり、会社が従業員の服装や髪型等を制限するには、「合理的な理由」のある決まりを就業規則等で「規定」することが必要です。


「合理的な理由」がある場合とは、


・業務上の必要がある場合

・職場秩序を著しく乱す行為を制限する必要がある場合


等で、例えば


・お客様と従業員とが見分けやすいよう全従業員に制服の着用を義務付けたり

・肌の露出が激しい服装はビジネスの場にふさわしくないため、露出を制限したり


という規制は多くの会社で問題なく行われています。

とはいえ、制限が「合理的」と言えるかを判断するにあたっては、


・業種・業態、職種、規模、地域等

・服装を制限するのか、髪型や髭等働いていない時間の外見に影響するものを制限するのか


等、様々な要素を考慮する必要があり、一律の基準で決まっているものではありません。

ここ数年で見聞きした事例ですが、


・Xジェンダーや性別移行を始めて間もないトランスジェンダーが、「異性装に見える」からと服装についての服務規定違反に問われる

・戸籍等において「女性」であるトランス男性やXジェンダー、ボーイッシュなレズビアン等が化粧をしないことを、「社会人女性としてふさわしくない」等ととがめられる


といったことが起こっています。



しかし、「異性装に見える」ことや「化粧をしている/していない」ことは、それだけで見た目を制限する「合理的な理由」に該当するわけではないのです。

「異性装に見える格好での就業禁止」「化粧の禁止/強制」といったことが事業の円滑な運営に必要であり、さらに、その規定から受ける従業員の不利益と会社の利益を比べて大きな不均衡がないときにはじめて、「合理的」な制限であるといえます。会社にとっては必要性の低い規定(会社の受ける利益は小さい)によって、従業員が就業できなくなるほどの苦痛を味わう(従業員の受ける不利益は大きい)のは、不均衡な状態です。


会社が、性同一性障害の診断を受けた従業員に性自認に基づく服装を禁ずることは、従業員の精神的苦痛が大きいものであると判例や和解事例等でも認められていますので、規制しようとすればその分会社の方にも高い必要性が求められます。

法律や判例、会社のルール、自分のつらさ、他社の事例等を整理して、会社の決まりのおかしさや自分の被っている不利益の大きさを指摘し、会社と話し合ってより働きやすいルールをつくれる可能性は十分あるといえるでしょう。


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☆社会保険労務士は、人を雇う側にも雇われる側にもアドバイスします。

会社がどのような考えで労務管理をするのかを踏まえてアドバイスしますので、会社の納得感を引き出しやすい交渉の仕方を提案できます。



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